ナンテンによる木工芸

ナンテン(南天)は、縁起物の木としても知られます。

庭では、どこからともなくやってきた種から、庭木の間の塀際に小さな株を作り、細い幹を何本か伸ばしています。

ナンテン(南天)の木

ナンテンは、基本的には直線的に伸びるので、直線状の材は比較的得やすいですが、この株に太い幹はありません。いちばん右の斜めになった幹でも外径20mmくらいです。
一般に、ナンテンの太い幹は非常にまれだと聞いています。

 

一本切ってみたものです。木工芸の残り材で、これはかなり細いです。

ナンテン(南天)の剪定材

幹の外見は頼りなくも見えますが、木材としてはかなりしっかりとしている印象です。

断面を拡大したものが下です。

ナンテン(南天)の断面

断面の様子は、バラとよく似ています。放射状の組織が目立ち、中央部には大きめの樹心があります(バラの木の断面については、こちらをご覧ください)。

木部はかなり硬く、黄みを帯びています。樹心もバラに比べれば硬く、中だけをそぎ落とすのは難しいと思います。

 

ナンテンのやや太めの幹から、耳かきを製作してみました。

ナンテン(南天)による木工芸:耳かき

拭き漆での仕上げです。

ナンテンは、目が詰まっていて漆との相性もよいようです。二度の拭き漆作業で、艶のある光沢仕上げとなりました。
黄みを帯びた木材なので、拭き漆にすると、ややトーンを落としたシャンペンゴールド調、とも言え、なかなかに華やかな仕上がりです。

 

ナンテンの問題点は、太い材を得るのが難しい、ということに尽きます。直線材を取りやすいので、お箸などが作れればよいのですが、樹心部が大きいことも考えると、お箸を作るには、かなり太い幹(直径30mm以上)が必要と思われ、これは相当に厳しい条件となります。

 

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