バラの花車の製作 1:構想・準備(1)

ここしばらくは、バラの花車の製作記をメインに記事にしていきたいと思います。

現在進行形ではなく、出来上がったものの製作過程の公開、といった形になりますが、よろしくお付き合いいただけたらと思います。


何年かやってきたバラ工芸について、やや集大成的なものを製作しようと考え、候補となっていたのが花車でした。ただ、材料的に不利なバラ材で小さな、つまり模型的な花車を作ることに意味があるのか、逡巡もありました。

迷った末、ただの花車の模型(置物)ではなく、ミニバラくらいは活けられたらよいかな、という考えに至り、ともかく製作にかかることにしました。また、花を活けるということを考えたとき、より構造の複雑な「牛車」(の模型)は、自動的に構想から外れることになりました。

基本スペックとしては、

  • ミニバラくらいは乗る。
  • 車輪は、実車(牛車)に準じた構造にする。
  • 車両として、実車同様にに回転・旋回できる。

といったあたりを立てました。ともかく車輪を最大のポイントとしました。

牛車には「実車」があり、源氏物語にも出てくる典雅な乗り物、というイメージがありますが、花車については、実のところよくわかりません。一言で言えば、「牛車の雰囲気のある花台」ということになりますが、花を飾るためのものなので、牛車サイズである必要も、牛に引かせる必要も特にありません。

花車の古い例として、屏風絵などに2次元のものを見ることができ、京都御所にも花車の扉絵があるようです。一方、3次元すなわち実車がどこまでさかのぼるのかは、ネットで軽く調べた程度ではわかりませんでした。花台としての実車よりも絵や着物の柄のようなモチーフとしてのほうがよく登場する印象があります(平安調の車と花で典雅なイメージ)。

これはお手本となるような花車の実車がない、ということでもあります。


ということで、基本線としては、牛車の実車になるべく近い構造にしつつ、小型化に伴う省略や、花車とするための改変を伴う、という方向で行くことにしました。

牛車の実車については、ネットでも、葵祭りに使われる立派な牛車などの画像があって、それなりに資料が得られます。

次回は、比較的地元の「源氏物語ミュージアム」にある再現牛車をもとに、車輪の構造を見てみたいと思います。

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