バラの花車の製作 9:車輪(6)

下は、接着して輪にした大羽・小羽の、内側の穴を丸くするための治具です。これらの木片に、曲面用布やすりを両面テープで貼り付けて旋盤に装着し、サンディングロールとして使います。

左は欅、右は紫檀のようです。中央はローズウッドに似た樹種に見えます。端材を使ったものですが、いずれにせよ、結構上等の木を使っています。

ちなみに、英語圏では紫檀もローズウッドも同じカテゴリで区別しませんが、日本では、紫檀は紫檀、ローズウッドはローズウッドと区別して販売流通しています。

さらに付言すれば、ローズウッドはマメ科の植物で、植物としてはバラとは何の関係もありません。ノコギリで切ったときにある種の芳香があり、それがバラに似ている、というのがその名のいわれだそうです。

鉄の軸は、太いドリル刃の根元を切断したものです(この作業のために切断したのかどうかは記憶が定かではありません)。
ドリルの切断のような、荒っぽい作業は推奨しませんが、ベンチグラインダと研削砥石を使って金属を削り落としていく形で切断します。

旋盤に装着したところです。

この旋盤は、本来金属加工用のものですが、木工に使っている例もあると販売元の説明にもありましたので導入しました。木工専用の旋盤に比べ、加工できる最大径はやや小さいですが、汎用性が高く、工具をいろいろ取り替えて使えるところが優れていると思います(その気になればもちろん金属加工もできます)。

このサンディングロールを回転させて、そこに車輪の穴を当てて、整形していきます。車輪の全周にやすりが当たると、「噛み込み」が生じやすくなるので押し込みすぎないよう注意します。小さい径の治具から、何段階にも分けて、穴を大きくしていきますが、穴がなるべく真円になるように注意し、また小羽が均等に残るように、チェックしながらの作業となります。

本来、旋盤にやすりの組み合わせは砥粒で旋盤をいためる、として推奨されないようですが、金属ではなく木工であることと、やすりを使わないと作業が進まないことから、使うところは使っています。

下が、車輪内側の加工が終了したところです。

この段階では、まだ車輪の側面に製材の厚みのばらつきに起因する凹凸がありますので、板ガラスの上に紙やすりを敷いて、車輪の側面両面を平面等厚に仕上げます。

平面にしたところです。

 

次回は外周を真円に仕上げる工程を予定しています。

バラの花車の製作 8:車輪(5)

糸鋸盤で切り出した大羽・小羽は、やや大きめに切り出していることもあり、そのままではきれいに組み合わさりません。

そこで、角材に紙やすりを貼り付けたものを使って、整形・修正していきます。

部材同士をいろいろ組み合わせてみて、最もしっくりきそうな組み合わせを決め、さらに修正していきます。

垂直に注意しつつ、少しずつ修正していきます。

整形途中の状況です。部材に番号が振られ、組み合わせが決定されていることがわかります。

隙間なく組みあがるまで整形できたところで、接着して一体化します。

牛車の実車では、分解可能なところですが、細部まで実車を踏襲することは考えていませんので、ここは作業性と仕上がりを重視して接着して輪にします。

部分的に接着して大きな部材にして、最後に一体化させます。

基準平面として、強化ガラスの板の上での作業です。ガラス板は、手軽に高精度の平面が得られ、水洗いができるなど、扱いが簡便なので平面がほしいときによく用います。

接着作業のときは、はみ出したボンドをまめに水ぶきしてとってやるなど、結構忙しい作業となります。

最後に一体化した写真があるべきなのですが、撮り忘れてしまいました。

仮組みの写真の、隙間のなくなった状態、と考えていただければと思います。

 

次回は、旋盤を利用して、きれいなドーナツ状にしていく工程を予定しています。

バラの花車の製作 7:車輪(4)

「バラの花車の製作 3」の設計図にもあるように、大羽を角度的に三等分し、内周部分は中央を残して両側に小羽が挟まる形にします。

下が、三等分線ケガキ用治具です。角度が微妙に合わず、何度か作り直しました。

これを使って、大羽に三等分線を引き、また別の治具を使って小羽と組み合わせる上辺の線をケガキます。

また、設計図をコピーしたものを型紙にして、残った材に小羽の形をケガキます。

このような状態になりました。

糸鋸盤を使って大羽に切り欠きを作ります。

 

同じく小羽を切り出します。

切り過ぎないように注意が必要です。

特に小羽は小さな端材からさらに切り出すので、材が暴れないようにしっかり押さえなければなりません。

糸鋸盤には、中央穴を小さくすることと、すべりをよくするために、ステンレス板を特注して載せてあります。
糸鋸刃も別にネットで取り寄せたものです。

糸鋸盤は、ウネウネとした振動(と音)はありますが、比較的に静かな機械だという印象です。
刃を交換することで、細かい作業から金属の切断まで使えますので、結構利用価値があるかと思います。ただきっちりとした直線や円を一発で切り出ことは難しいです(私にはできません)。

大羽を切り出したものです。

 

小羽も切り出して、14個ずつ部材が荒取りできました。

 

次回は、整形して輪にする工程を予定しています。

バラの花車の製作 6:車輪(3)

大羽を製作していきます。7枚合わせにしますので、大羽だけで正7角形ができることになります。

そこで、製作の段取りとして、大羽の切断面をなるだけ正確に 360/7=51.4…度になるように切断してしまい、切断面はあとで修正せずに大羽だけで車輪が組めるようにします。

 

これは、正七角形用切断治具です。

MDFをベースに、アルミアングルとアルミ板、ネジを組み合わせて製作しました。

先の「基準面」が鉛筆の線に合うようにして材を固定し(アルミ棒はそのための定規です)、ノコギリを入れていきます。

バラの花車製作では、こういった自作の治具や小道具がいろいろ登場しますが、これはかなり手が込んでいるもののひとつです。

「アサリ」のないノコギリ(刃厚0.4mm)を使い、アルミアングルの隙間で往復させれば正確に切れるであろう、という目論見です。アングルはMDFに瞬間接着剤で固定していますが、壊れることはありませんでした。
左右の切断線が交差するところは、鉄道のポイントのようにも見え、結構複雑な構造です。

 

実際に、切断している状況です。これは、右を先に切った部材です。

左を先に切った部材です。中央の部材をしっかり固定して、ずれないようにしなければなりません。

切り代は多めにあったほうがよく、そこをクランプすることで、ノコギリの動きがよりスムーズになります。

ただ、残りから小羽をとる必要があるので、一方の端材を大きく取る必要があり、どうしてもぎりぎりの作業になります。


大羽14枚を切り出しました。

次回は、小羽の切り出しと大羽を逆凸形にする作業です。