バラの花車の製作 22:軛,車台組立

軛(くびき)の素材は、アプリコット・ネクターとともに2分割したニュー・ドーン材の太いほうです(細いほうはフレームの横桁に使いました)。黒い着色模様があるので、これを活かして表現に変化をつけます。

型紙(右)と、それをフィルムに印刷したもの(中)、および荒製材の済んだ軛の状況です。

ベルトサンダーで荒く製材した後、サンディングドラムで少しずつ整形していきます。その後曲面用布やすりで形を仕上げ、スポンジやすりで磨いて仕上げます。

仕上がった軛です。

軛と轅とを接着します。

次に、軛の先に出た轅の先端部を作ります。

ニュー・ドーンの端材から、材を研削して整形します。

指で持って作業できないほどの薄い材・細い材をベルトサンダーで削る場合、材の不要部分に穴を開け、竹串をさして保持するようにします。

摩擦で材がもっていかれそうになる力には、竹串(右手)で対応し、左手は、指を材の上に軽く当てて、材が均等に削れるように意識を集中します。

所定サイズに整形後切断します。

90度用切断治具も、45度と同じ要領で作っています。

プラ板で高さを合わせ、轅との位置関係に注意しながら、軛と接着します。


これで車台部が完成しました。

要所要所で木固め塗装をしています。
車台横桁中央板には、車軸・床板との接合用ピン(車輪の輻の余り材から製作)がすでに挿入されています。

車台が形になり、一気に雰囲気が出てきました。

 

次回は、車軸を仕上げて、車輪を仮組みします。

バラの花車の製作 21:轅(2)

残ったニュー・ドーンの枝材から、曲がり具合を見定めて、屈曲部となる部分をマスキングテープで巻きます。

手書きの設計図が写りこんでいます。マスキングテープの小さな紙片は、左右分割の中心(最屈曲部)を示すものです。

枝材を切断します。

断面を見て、木取りを確認します。左右対称に取れそうです。

糸鋸盤で2本に分割します。

皮が取れている部分は、あらかじめベルトサンダーで平らにしたところです。こうすると、糸鋸盤での作業がスムーズになります。

ベルトサンダーで、少しずつ研削していきます。果たしてうまくいくか、3次元的な想像をしつつ、慎重かつ大胆に作業を進めます。

研削が進んだ状況です。形になってきました。

整形がある程度進んで細くなってきたところで、糸鋸盤で、直線部と屈曲部を接合する切欠き部を加工します。

切欠き部は、デザインナイフや金属やすり、紙やすりなどできっちりと形よく合うように微修正します。

屈曲部の研削(曲面用布やすりで丸くします)がさらに進んだところで、先端を垂直に加工します。

このような治具を製作し、先端部分を治具ごとベルトサンダーで研削して、軛(くびき)が垂直につくように加工します。

垂直に平面が出ました。

この作業工程からもお分かりのように、作業性と仕上がりの良さを優先し、軛に穴を開けて轅を通す、という形にはしません。

牛車の轅には、軛を貫通して車の先端にまで延びる部分がありますが、それをこのサイズできれいに再現することはかなり難しく、また材の関係で失敗が許されないので、軛を轅に接着し、さらに軛に別材を接着して轅の先端部を表現することにしました。

これは、切欠き接着用治具です。右側を使います。3等分治具の失敗作を再利用しました。

これで位置を決めながら、轅を切欠きで接着します。

接合・整形を終了した轅パーツです。

右上の3つは、轅をフレーム状につなぐ横板材です。左は以前から持っていたニュー・ドーンの太い端材から、右はアプリコット・ネクターなどと一緒に2分したニュー・ドーン材のひとつから、中は4枚の端材を接合して製材しました。

完成後はあまり見えないところですが、模様のある材を使って変化を出し、単調にならないようにします。

フレーム化用治具を使って接着します。

軛がつくことになる先端部の平面性に注意します。屈曲の曲がり具合の一致も確認します。

MDF は、平面・垂直がかなりよく出ているので、治具によく用います。矢印は、商品そのままの面を示します(自分で切った面ではないということです)。

接着後、固定中のフレームです。

 

今回は、やや長い工程紹介となりました。
次回は、軛の製作と、轅との接着、車台部の仕上げの予定です。

バラの花車の製作 20:轅(1)

今回から轅(ながえ)の製作に入ります。

なお、実際の製作過程では、いろいろな部分を並行的に作業していますので、必ずしも時系列的にこの順序(ある部分か完成してから次の部分に取り掛かる)でやっているわけではありません。

轅は、材料の関係(太い木材がないので余裕を持った木取りができない)から、左右それぞれを2つのパーツとし、床を載せる直線部と、軛へと伸びる屈曲部を別々に製作して結合する形としました。

ニュー・ドーンの枝です。

直線に近いところもあり、使えそうな屈曲部分もあります。木取りを十分に検討します。

上の定規付近の枝を切って、2本に分割します。木部に着色模様が入っている(材の外縁に近いところ)のは狙い通りです。これを轅の直線部に使います。
なお、下の画像の各材の中央部の赤茶色のところは樹心(髄)ですので、これがなくなるまで、ベルトサンダーで削ります。

ベルトサンダーで四角に製材します。

着色部を利用して変化をつけます。

 

次回は屈曲部の製作に入ります。

バラの花車の製作 19:欄干(2)

欄干部と床板は、分離可能な構造とします。将来的に取替える余地を残しておこうと考えました。

接着後の欄干基部に、柱を立てるための穴を開けます。両端(四隅)がやや大きめです。

こちらは完成した柱材パーツです(中央の6本)。

床板上面に、欄干部固定用の袋穴を開けます。

下のように、対角線の2本の柱材(後に欄干基部に接着)で、欄干部と床板が結合される構造です。

柱材を接着します。板ガラスの上です。

プラ板を敷いて対角線の柱の突出しを調整します。

柱間の実寸に合わせて、欄干の横板(グラハム・トーマス)を整形完成させます。

欄干横板を接着します。

プラ板で隙間を合わせます。

欄干横桁を接着します。

マスキングテープは位置決め用です。乾燥後、はみ出したボンドを除去して木固めし、欄干部の完成となります。

このあたりは、強い強度が必要な場所ではない、と考え、木工用ボンドによる芋付け的な接着を多用しています。

 

次回からは、車輪と並ぶ花車のハイライト、轅の製作に入ります。

バラの花車の製作 18:欄干(1)

欄干部のデザイン・造形としては、花台としてうるさくならないこと、洋花にも違和感なくマッチすること、などから、擬宝珠などの装飾的要素を省いたシンプルな構成としつつ、材の色の違いなどで、木材のみによる構成の中で変化を表現することにしました。

グラハム・トーマスの枝材を切ります。

糸鋸盤で4分割し、太い2本を最上部の横桁にします。

ベルトサンダで荒製材後、旋盤に咥えて曲面用布やすりで研削します。その後、手作業で前後端を細め、整形していきます。

このような状況になりました。これが左右につきます。

先に4分割していたファンタン・ラトゥール材を、ベルトサンダーで研削して角柱にし、欄干の基材とします。

一番右の材は、節があって不適となり(結局折れてしまいました)、色合いの似たニュー・ドーンの端材から作り直しました。

45度切断治具を使い、留め加工をします。

その後板ガラス上で、直角に注意しつつ接着します。

ニュー・ドーン材から欄干の柱を製作します。

柱は左右3本ずつとし、中央は細め、両端はやや太めとします。

下はグラハム・トーマスの4分割材のうち、細い方の2本です。ここから欄干の横板をとります。

色が濃いので、色合いに変化を付けることができます。現物合わせが必要となる部材でもあるので、実際の加工は少しあとになります。

 

次回は、欄干部の続きです。